• 2026年5月26日
  • 2026年5月20日

腰痛が若年層に増えている原因とは?整形外科医が解説する予防法

「最近、腰が痛くて…」

そう話してくれるのは、20代・30代の若い患者さんです。

かつて腰痛は「中高年の悩み」というイメージが強くありました。ところが近年、若い世代でも腰痛を訴えるケースが目立って増えています。スマートフォンの普及、テレワークの定着、運動不足…現代特有の生活習慣が、若者の腰に確実にダメージを与えているのです。

渚うめだ整形外科クリニック院長の梅田眞志です。整形外科専門医として長年、脊椎疾患の診療に携わってきた立場から、若年層の腰痛が増えている背景と、日常生活でできる具体的な予防法をお伝えします。

腰痛は放置すると慢性化します。早めに原因を知り、正しく対処することが大切です。

若年層の腰痛が増えている背景

腰痛は、決して「年をとってから起こるもの」ではありません。

腰は5つの骨(腰椎)が積み重なって構成されており、上半身の重みを支える重要な部位です。この腰椎に過度な負担がかかったり、周囲の筋肉が弱くなったりすることで、痛みが生じます。若い世代でも、日常生活の中でこの「負担」が蓄積されているのが現状です。

実際に外来で診ていると、10代後半から20代の患者さんが「ずっと座っていると腰が痛い」「朝起きたら腰がこわばっている」と訴えるケースが増えています。

なぜ今、若い人の腰が悲鳴を上げているのでしょうか。

スマートフォンの長時間使用による姿勢の悪化

最大の要因のひとつが、スマートフォンです。

画面を見るとき、多くの人は無意識に頭を前に突き出し、背中を丸めた「猫背姿勢」になります。頭の重さは約5〜6kgありますが、前傾角度が増すほど首や腰への負荷は数倍に跳ね上がります。この姿勢を毎日何時間も続けることで、腰椎に慢性的なストレスがかかり続けるのです。

「スマホを見ている間は腰が痛くないから大丈夫」と思っている方も多いですが、痛みを感じないうちに負担は蓄積されています。

気づいたときには慢性腰痛になっていた、というケースは珍しくありません。

テレワーク・長時間デスクワークによる影響

テレワークの普及も、若年層の腰痛増加に大きく関わっています。

オフィスでは自然と席を立つ機会がありますが、自宅では何時間も同じ姿勢で座り続けることが多くなります。しかも、自宅の椅子や机は必ずしも体に合った高さではないことが多く、腰への負担がさらに増します。同じ姿勢での長時間にわたるデスクワークは、腰周辺の筋緊張と血行不良を引き起こす代表的な原因です。

「仕事が終わったらソファに倒れ込んで、そのままスマホを見続ける」という生活パターンも、腰にとっては最悪の組み合わせといえます。

運動不足による体幹・腰周囲筋の低下

腰を守るのは、腰椎そのものだけではありません。

腰椎の周囲を支える「体幹筋」や「腸腰筋」などの筋肉が、腰への負担を分散する役割を担っています。しかし運動不足が続くと、これらの筋肉が弱くなり、腰椎への負荷が集中してしまいます。

若い世代でも、学生時代に運動をやめてからほとんど体を動かしていないという方は多くいらっしゃいます。体幹筋の低下は、見た目ではわかりにくいだけに、気づかないうちに腰痛リスクを高めているのです。

若年層に多い腰痛の種類と見分け方

腰痛にはさまざまな種類があります。

若い世代に多いのは、筋肉や靭帯への過負荷による「筋・筋膜性腰痛」ですが、中には重大な疾患が隠れているケースもあります。腰痛の原因を正しく把握することが、適切な治療への第一歩です。

筋・筋膜性腰痛(急性腰痛・慢性腰痛)

最も多いのが、筋肉や筋膜の疲労・損傷による腰痛です。

重いものを持ち上げたときや、急に体をひねったときに起こる「ぎっくり腰(急性腰痛)」もこのカテゴリに入ります。一方、慢性的な姿勢の悪さや運動不足が原因で、じわじわと痛みが続く「慢性腰痛」も若年層に増えています。

急性腰痛を繰り返す方や、慢性的な腰痛に悩まされる方は、一度しっかりと原因を調べることをお勧めします。

腰椎椎間板ヘルニア

「腰椎椎間板ヘルニア」は、若い世代にも起こりやすい疾患です。

腰椎椎間板ヘルニア…

腰椎と腰椎の間にあるクッション(椎間板)の中身が飛び出し、神経を圧迫することで腰痛や足のしびれを引き起こす状態です。

特徴的なのは、腰痛だけでなく「坐骨神経痛」と呼ばれる、お尻から足にかけての痛みやしびれを伴うことです。前かがみになると痛みが強くなる傾向があります。20〜40代に多く、スポーツや重労働だけでなく、長時間の不良姿勢でも発症する可能性があります。

見逃せない重大疾患のサイン

腰痛の多くは一過性のものですが、重大な疾患が隠れているケースもあります。

以下のような症状を伴う腰痛は、早急に整形外科を受診してください。

  • 安静にしていても痛みが続く・夜間に痛みが強くなる
  • 足のしびれや麻痺がある
  • 排尿・排便に障害がある
  • 発熱を伴う腰痛
  • 体重が急激に減少している

腰痛から考えられる重大疾患には、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、背骨の骨折、がんの骨転移のほか、胃潰瘍、尿路結石、子宮筋腫、解離性大動脈瘤なども含まれます。「ただの腰痛だろう」と自己判断せず、気になる症状があれば必ず受診してください。

整形外科医が教える!若年層の腰痛予防法

腰痛は予防できます。

日常生活の中で少し意識を変えるだけで、腰への負担を大幅に減らすことができます。ここでは、私が患者さんに実際にお伝えしている予防法をご紹介します。

正しい姿勢を意識する

姿勢の改善は、腰痛予防の基本中の基本です。

座るときは、背もたれに軽く背中をつけ、骨盤を立てた状態を意識しましょう。足の裏は床にしっかりつけ、膝は90度に曲げた状態が理想的です。スマートフォンを使うときは、画面を目の高さに近づけることで、頭の前傾を防ぐことができます。

「正しい姿勢を1時間キープする」よりも、「30分ごとに一度立ち上がる」ほうが現実的で効果的です。長時間同じ姿勢を続けないことが、腰への負担を減らす最善策です。

腰痛体操・ストレッチを習慣にする

日頃から腰痛を起こしやすい方には、「腰痛体操」が効果的です。

姿勢の悪さや体幹・下半身の筋肉バランスの問題が関わっているケースが多く、これらを改善するために腰痛体操は有効とされています。ただし、腰痛の種類や病期によっては悪化することも考えられます。自己流でのストレッチは症状を悪化させる可能性があるため、まずは一度受診して、自分の状態に合った体操を指導してもらうことをお勧めします。

一般的に効果的とされる動きとしては、以下のようなものがあります。

  • 膝抱えストレッチ…仰向けに寝て、両膝を胸に引き寄せ、腰の筋肉を伸ばす
  • キャット&カウ…四つん這いの姿勢で背中を丸めたり反らしたりを繰り返す
  • 骨盤前後傾運動…椅子に座った状態で骨盤を前後に傾け、腰椎の柔軟性を高める

これらはあくまで一般的な例です。腰痛がある場合は必ず医師に相談してから行ってください。

体幹トレーニングで腰を守る

腰痛予防に最も効果的なのは、体幹筋を鍛えることです。

体幹筋が強くなると、腰椎への負荷が分散され、腰痛が起きにくい体になります。特に「プランク」や「ドローイン(お腹を凹ませて腹横筋を意識する運動)」は、腰への負担が少なく、初心者でも取り組みやすい運動です。

ただし、腰痛がある状態での無理なトレーニングは禁物です。痛みがある場合は、まず医師の診察を受けてから、理学療法士の指導のもとで適切なリハビリを行うことが重要です。

日常生活での細かな工夫

大きな運動習慣の前に、日常の小さな習慣から変えることも大切です。

  • 重いものを持つときは、膝を曲げて腰を落とし、腰ではなく脚の力で持ち上げる
  • 長時間の座り仕事には、腰をサポートするクッションを活用する
  • 睡眠時は横向きで膝を軽く曲げた姿勢が腰への負担を減らしやすい
  • 冷えは腰周囲の血行不良を招くため、腰を冷やさない工夫をする

小さな積み重ねが、腰の健康を長期的に守ることにつながります。

腰痛が続くときの整形外科での診療について

「少し休めば治るだろう」と思って放置するのは危険です。

腰痛は、適切な診断と治療を受けることで、多くのケースで改善が期待できます。逆に放置すると慢性化し、日常生活や仕事に支障をきたすことになりかねません。

診療の流れ〜問診から治療まで

整形外科では、まず問診と診察から始まります。

「腰がどのように痛いか」「どんな時に痛むか」「腰以外にどこが痛いか」などを詳しくお聞きします。その後、X線検査などの画像検査を行い、原因を特定します。原因が明らかになったうえで、それぞれに合った治療を選択します。

治療の選択肢は多岐にわたります。

  • 薬物治療…筋弛緩剤や鎮痛消炎剤、神経ブロック療法、トリガーポイント注射などを単独または組み合わせて行います
  • 運動療法・リハビリテーション…医師の指示のもと、理学療法士・柔道整復師によるリハビリを実施します
  • Spine Dynamics療法・腰椎牽引・鍼灸治療…腰痛の程度や原疾患ごとに適切な治療を選択します
  • 装具療法…コルセットなどを使用することもあります

「どの治療が自分に合っているか」は、診察してみないとわかりません。自己判断で市販薬を飲み続けるよりも、専門医に相談することをお勧めします。

腰痛体操の指導も行っています

渚うめだ整形外科クリニックでは、薬物治療だけでなく、生活指導や腰痛体操の指導も行っています。

「腰痛体操をやってみたいけれど、自分でやって大丈夫か不安」という方も多くいらっしゃいます。腰痛の種類や病期によっては、体操が逆効果になることもあるため、まずは受診して状態を確認したうえで、適切な体操をご案内しています。

健康寿命を延ばし、地域の皆さんに寝たきりにならない生活を送っていただくこと。それが私たちクリニックの理念です。

若いうちから腰痛と向き合うことの大切さ

腰痛は「我慢するもの」ではありません。

若い世代の腰痛は、適切に対処すれば改善できるケースが多くあります。しかし放置して慢性化すると、将来的に腰部脊柱管狭窄症などの深刻な疾患につながるリスクも高まります。

「まだ若いから大丈夫」という思い込みが、最も危険です。

腰痛は年齢に関係なく起こります。早期発見・早期対処が、将来の健康を守る最善の投資です。

日常生活の姿勢を見直し、適度な運動を取り入れ、痛みが続くようであれば迷わず専門医に相談する。この3つを意識するだけで、腰痛リスクは大きく変わります。

20代・30代のうちから腰の健康に目を向けることが、50代・60代になっても元気に動ける体をつくることにつながります。

腰に不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの腰の状態に合わせた、最適な治療と予防策をご提案します。

まとめ

若年層の腰痛増加には、スマートフォンの長時間使用による姿勢悪化、テレワークによる長時間座位、運動不足による体幹筋の低下など、現代特有の生活習慣が深く関わっています。

腰痛の予防には、正しい姿勢の意識、腰痛体操・ストレッチの習慣化、体幹トレーニング、日常生活での細かな工夫が効果的です。ただし、腰痛の種類によっては自己流のケアが逆効果になることもあります。

痛みが続く場合や、足のしびれ・夜間痛などの症状がある場合は、早めに整形外科を受診することが大切です。渚うめだ整形外科クリニックでは、問診・画像検査による正確な診断のもと、薬物治療・リハビリテーション・生活指導など多様な治療を提供しています。

腰の不調を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

📞 渚うめだ整形外科クリニック

大阪府枚方市渚南町24-31 なぎさクリニックモール1F・3F

TEL:072-848-3755

土曜日診察・夜対応(〜19:30)・電子決済利用可能

▼ 腰痛・肩こりの診療詳細はこちらからご確認いただけます。

渚うめだ整形外科クリニック 肩こり・腰痛

著者情報

渚うめだ整形外科クリニック 院長 梅田 眞志

関西医科大学卒業後、同大学大学院博士課程を修了し、再生医療の研究に従事。医学博士。
これまで、八尾徳州会病院、天心堂病院、社会保険滋賀病院、弘道会 萱島生野病院、関西医大枚方病院などで、脊椎疾患・関節疾患・骨粗鬆症・骨折などの外傷治療に幅広く携わってきました。
2018年に渚うめだ整形外科クリニックを開院。地域に根ざした整形外科医療を通じて、運動器疾患のかかりつけ医として診療を行っています。

主な経歴
・2000年 関西医科大学 卒業
・2008年 関西医科大学大学院 博士課程修了(再生医療の研究に従事)
・八尾徳州会病院
・天心堂病院
・社会保険滋賀病院
・弘道会 萱島生野病院 整形外科 医長
・関西医大枚方病院 整形外科(脊椎外科・骨粗鬆症担当)
・2018年 渚うめだ整形外科クリニック 開院

資格・所属学会
日本整形外科学会 整形外科専門医/日本整形外科学会 認定運動器リハビリテーション医/日本整形外科学会 認定リウマチ医/日本整形外科学会 認定脊椎脊髄病医/日本骨粗鬆学会認定医
日本整形外科学会、日本骨粗鬆学会、日本骨折治療学会、日本抗加齢学会に所属。国内外の学会・シンポジウムでも多数の講演実績があります。

渚うめだ整形外科クリニック

若い世代の腰痛、整形外科に相談できます

「若いのに腰が痛い」という方も整形外科の受診対象です。渚うめだ整形外科クリニックでは診察・検査・リハビリテーションで腰痛のサポートを行っています。

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