- 2026年6月22日
- 2026年6月1日
四十肩と五十肩の違いとは?症状・原因・治療法を整形外科医が徹底解説

四十肩と五十肩の違いとは何か?
四十肩と五十肩は、発症した年齢によって呼び名が変わるだけの同じ疾患です。正式な医学用語では「肩関節周囲炎」と呼ばれ、日本整形外科学会もこの名称を使用しています。
40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と呼ばれますが、症状・原因・治療法はまったく同じです。なお、「五十肩」という言葉の起源は江戸時代の俗語集「俚言集覧」にまで遡り、もともとは「五十腕」と記されていたとされています(金沢病院整形外科医・歌島大輔医師の解説より)。
40代後半から60代が発症の中心年齢であり、性別による大きな差異は見られません。ただし、長時間のデスクワークが日常化している方は30代でも発症することがあるため、若い世代も油断は禁物です。
四十肩・五十肩の主な症状は何か?
主な症状は「肩の痛み」と「腕の可動域制限」で、日常動作に大きな支障をきたします。症状は急性期・慢性期・回復期の3段階で進行します。
急性期(発症〜約2週間)
急性期は、症状が現れてから概ね2週間程度の時期です。肩関節周囲に急激な炎症が起こり、以下のような強い痛みが現れます。
- 夜間痛・安静時痛…寝返りを打つだけで目が覚める、痛い側の肩を下にして眠れない
- 運動時痛…腕を上げたり後ろに回したりすると激痛が走る
- 可動域の急速な低下…電車のつり革をつかめない、洗髪・着替えが困難になる
この時期は炎症が強いため、患部を無理に動かすと症状が悪化します。冷やすか温めるかの判断も難しく、整形外科での適切な診察が不可欠です。
慢性期(約2週間〜半年)
急性期を過ぎると激しい痛みは和らぎますが、肩関節の可動域が狭まったままの「拘縮期」が約半年続きます。過度に動かしたときに強いつっぱり感が残り、夜間に痛みが再燃することもあります。
この時期に肩を動かさずに放置すると、関節包が癒着して「凍結肩(フローズンショルダー)」に移行するリスクがあります。凍結肩になると、元通りに動かせるようになるまで数年単位の治療が必要になることもあります。
回復期(約半年以降)
発症から約半年が経過すると、痛みはほぼなくなり、徐々に可動域も広がる回復期に入ります。ただし、この時期に適切なリハビリを行わないと、筋力低下や可動域制限が残ることがあります。
全体の経過としては、おおむね1年程度で回復することが多いとされていますが(大正製薬「大正健康ナビ」)、重症の場合は数年かかるケースもあります。

四十肩・五十肩の原因は何か?
最大の原因は加齢による肩関節周囲組織の変性・炎症です。ただし、生活習慣や基礎疾患も発症リスクを高めます。
肩関節は骨・軟骨・靭帯・腱・関節包など多くの組織で構成されています。加齢とともにこれらの組織の弾力性が低下し、微小損傷が蓄積することで炎症が起こりやすくなります。
発症リスクを高める主な要因
- 加齢…肩関節周囲の骨・軟骨・靭帯・腱が老化し、炎症が起こりやすくなる
- 運動不足・不良姿勢…長時間のデスクワークやスマートフォン使用で肩周囲の筋肉が緊張し、血行不良が起こる
- 糖尿病…血糖値のコントロール不良が血行悪化を招き、腱組織が変性しやすくなる。糖尿病患者の10〜20%が四十肩・五十肩を発症するというデータがある
- 脂質異常症…過剰なコレステロールが腱組織に沈着し、炎症を引き起こすことがある
- 甲状腺疾患…甲状腺機能低下症・亢進症では腱組織が変性しやすく、痛みが発生しやすい
猫背や巻き肩などの姿勢の悪さも、肩関節への負担を増大させる要因となります。日頃から姿勢を意識し、適度に肩を動かす習慣をつけることが予防につながります。
四十肩・五十肩と肩こりの違いは何か?
肩こりは「筋肉疲労」、四十肩・五十肩は「関節の炎症」であり、原因も対処法も異なります。混同して誤ったケアをすると症状が悪化するため、正確な鑑別が重要です。
- 肩こり…姿勢の悪さ・ストレス・運動不足などにより、首から肩・背中上部の筋肉に緊張・血行不良が生じる。痛みの部位は首〜肩の筋肉全体に広がることが多い
- 四十肩・五十肩…加齢などにより肩関節の関節包・腱板に炎症が起こる。痛みは肩関節周辺〜二の腕に集中し、腕を特定方向に動かすと激痛が走る
見極めのポイントは「痛みが出る場所」と「腕の可動域制限の有無」です。腕を上げたり後ろに回したりする動作で強い痛みが出る場合は、肩こりではなく四十肩・五十肩の可能性が高いです。自己判断は禁物で、整形外科での診察・画像検査による正確な診断が必要です。
四十肩・五十肩に似た疾患との違いは何か?
四十肩・五十肩と症状が似た疾患は複数あり、治療法が異なるため整形外科での鑑別が必須です。
- 肩腱板断裂…肩の使い過ぎや外傷で腱板が断裂する疾患。50〜60代に多く、利き手側に発症しやすい。四十肩・五十肩の疑いがある患者の多くが該当するとも言われる
- 石灰性腱炎…肩の腱にカルシウムが結晶沈着して起こる炎症。40代女性に多く、肩が動かせないほど激しい痛みが特徴
- 上腕二頭筋長頭腱炎…四十肩・五十肩の前段階とされる腱の炎症。早期にストレッチで対処することが重要
- 関節リウマチ…関節に炎症が起こる自己免疫疾患。30〜50代の女性に多く、肩の痛みを伴うが可動域制限はあまり見られない
- 心筋梗塞・狭心症・肺がん…内臓疾患でも肩に痛みが放散することがある。突発的な強い痛みや長期間続く痛みは要注意
レントゲン・超音波検査・MRIなどの画像検査を組み合わせることで、これらの疾患を正確に鑑別できます。痛みが2週間〜1か月以上続く場合は、必ず整形外科を受診してください。

四十肩・五十肩の治療法にはどのようなものがあるか?
治療は「急性期は安静と炎症コントロール」「慢性期以降は運動療法とリハビリ」が基本方針です。病期に合わせた適切な治療を選択することが早期回復の鍵となります。
薬物療法
急性期の強い痛みには、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や筋弛緩剤の内服が有効です。痛みが強く日常生活に支障をきたす場合は、注射療法も選択肢となります。
渚うめだ整形外科クリニックでは、神経ブロック療法・トリガーポイント注射を単独または組み合わせて実施しており、痛みのコントロールに力を入れています。注射療法は炎症の鎮静と痛みの早期改善に有効な治療法です。
運動療法・リハビリテーション
慢性期に入り炎症が落ち着いてきたら、理学療法士の指導のもとで積極的な運動療法を開始します。ストレッチ・振り子運動・棒体操などで肩関節の可動域を広げ、筋力を回復させます。
渚うめだ整形外科クリニックでは、理学療法士・柔道整復師によるリハビリテーションを提供しており、患者さんの状態に合わせた個別プログラムを組んでいます。
温熱療法・物理療法
慢性期には患部の血行を促進する温熱療法(ホットパック・マイクロ波など)が痛みの緩和と治癒促進に効果的です。急性期の炎症が強い時期には逆効果になることもあるため、医師の指示に従って使用することが重要です。
やってはいけないこと
急性期に自己判断で肩を強くもんだり、無理に動かしたりすると炎症が悪化します。また、痛みを我慢して放置すると凍結肩に進行するリスクがあります。痛みを感じたら早期に医療機関を受診し、炎症の時期に合わせた適切な治療を受けることを推奨しています。
自宅でできるセルフケア・ストレッチは何か?
炎症が落ち着いた慢性期以降は、自宅でのストレッチが可動域回復と再発予防に有効です。ただし、急性期の強い痛みがある時期は安静を優先してください。
棒・タオルを使ったストレッチ
肩幅程度の棒またはタオルを両手で持ち、肘を伸ばしたまま上げ下げ・捻りの動作を行います。健側(痛みのない側)の力で患側(痛みのある側)の動きをサポートできるため、無理なく可動域を広げられます。
- 1回10〜15回を目安に、1日2〜3セット行う
- 痛みが強い場合は無理をせず中止する
- 動作はゆっくりと、反動をつけずに行う
振り子運動(コッドマン体操)
前傾姿勢で患側の腕を自然に垂らし、体の揺れを利用して腕を前後・左右・円を描くように動かします。重力を利用して肩関節への負荷を最小限に抑えながら可動域を広げる運動です。
より専門的な運動プログラムを希望する場合は、整形外科を受診して医師・理学療法士に指導を受けることを強くお勧めします。自己流のストレッチは症状を悪化させるリスクがあります。
整形外科ではどのような検査・診断が行われるか?
整形外科では問診・触診・画像検査を組み合わせて、四十肩・五十肩の病期と他疾患との鑑別を行います。
- 問診…いつから・どの動作で・どの程度の痛みが出るかを詳しく確認する
- 触診・運動機能検査…肩関節の可動域・圧痛部位・筋力を評価する
- X線(レントゲン)検査…骨の変形・石灰沈着・骨折などを確認する
- 超音波(エコー)検査…腱板の状態・炎症の有無をリアルタイムで評価する
- MRI検査…腱板断裂・関節包の状態など軟部組織を詳細に評価する
厚生労働省のe-ヘルスネットや日本整形外科学会のガイドラインでも、四十肩・五十肩は早期の保存療法と適切なリハビリテーションが症状改善に寄与することが示されています。画像検査で他疾患を除外したうえで、病期に合った治療計画を立てることが重要です。
渚うめだ整形外科クリニック(大阪府枚方市)では、問診・触診に加えてX線などの画像検査を実施し、原因に合わせた薬物治療・リハビリテーション・生活指導を組み合わせた包括的な治療を提供しています。院長の梅田眞志医師は関西医科大学出身で、整形外科専門医・認定脊椎脊髄病医・認定リウマチ医などの資格を持ち、肩関節疾患の診療に豊富な経験を有しています。
肩の痛みや腕の動かしにくさでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。渚うめだ整形外科クリニックでは、整形外科・リハビリテーション科・麻酔科の連携により、神経ブロック療法やトリガーポイント注射を含む幅広い治療を提供しています。渚うめだ整形外科クリニック 肩こり、腰痛のページから診療内容をご確認いただけます。WEB受付は月・水・金の夕方診療と土曜日のみ対応しています(電話:072-848-3755)。

よくある質問
四十肩と五十肩は別の病気ですか?
四十肩と五十肩は発症した年齢による呼び名の違いだけで、同じ疾患「肩関節周囲炎」です。症状・原因・治療法はまったく同じであり、日本整形外科学会も同一疾患として扱っています。
四十肩・五十肩は放置しても自然に治りますか?
軽症であればおおむね1年程度で自然回復することもありますが、放置すると凍結肩に進行し数年単位の治療が必要になるケースもあります。早期に整形外科を受診して適切な治療を受けることを推奨します。
四十肩・五十肩の痛みはいつが一番強いですか?
発症直後の急性期(約2週間)が最も痛みが強く、夜間痛・安静時痛が現れます。その後、慢性期に移行すると痛みは和らぎますが、可動域制限が約半年続きます。
四十肩・五十肩のとき温めるべきですか?冷やすべきですか?
急性期の炎症が強い時期は冷やすことが基本ですが、炎症が落ち着いた慢性期以降は温めて血行を促進します。急性期か慢性期かの判断は難しいため、自己判断せず整形外科医に確認してください。
四十肩・五十肩に注射治療は有効ですか?
神経ブロック療法やトリガーポイント注射は、強い痛みの早期改善に有効です。薬物内服だけでは痛みが取れない場合や、日常生活に著しく支障をきたす場合に特に適応となります。
四十肩・五十肩はどの診療科を受診すればよいですか?
整形外科を受診してください。X線・超音波・MRIなどの画像検査で腱板断裂や石灰性腱炎などの類似疾患と鑑別したうえで、適切な治療を受けることが重要です。
糖尿病があると四十肩・五十肩になりやすいですか?
糖尿病患者の10〜20%が四十肩・五十肩を発症するというデータがあります。血糖値のコントロール不良が血行悪化・腱組織の変性を招くためです。糖尿病がある方は特に注意が必要です。
四十肩・五十肩の再発はありますか?
同じ肩への再発はあまり多くありませんが、反対側の肩に発症することがあります。日頃からストレッチや適度な運動で肩関節の柔軟性を維持することが再発予防につながります。
四十肩・五十肩のリハビリはいつから始めればよいですか?
急性期の強い炎症が落ち着いた慢性期以降から、理学療法士の指導のもとで開始するのが基本です。急性期に無理に動かすと炎症が悪化するため、開始時期は必ず医師に確認してください。
四十肩・五十肩と腱板断裂の違いは何ですか?
腱板断裂は肩の腱板が断裂する疾患で、四十肩・五十肩と症状が似ていますが治療法が異なります。超音波やMRI検査で鑑別できるため、肩の痛みが続く場合は整形外科での画像検査が必須です。
結論
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)は放置すると凍結肩に進行するリスクがあります。急性期は安静と痛みのコントロール、慢性期以降は積極的なリハビリが基本方針です。肩こりや腱板断裂との鑑別のためにも、痛みが2週間以上続く場合は整形外科を早期受診してください。渚うめだ整形外科クリニック(枚方市)では神経ブロック療法・リハビリを組み合わせた包括的な治療を提供しています。
【著者情報】

渚うめだ整形外科クリニック 院長 梅田 眞志
関西医科大学卒業後、同大学大学院博士課程を修了し、再生医療の研究に従事。医学博士。
これまで、八尾徳州会病院、天心堂病院、社会保険滋賀病院、弘道会 萱島生野病院、関西医大枚方病院などで、脊椎疾患・関節疾患・骨粗鬆症・骨折などの外傷治療に幅広く携わってきました。
2018年に渚うめだ整形外科クリニックを開院。地域に根ざした整形外科医療を通じて、運動器疾患のかかりつけ医として診療を行っています。
主な経歴
・2000年 関西医科大学 卒業
・2008年 関西医科大学大学院 博士課程修了(再生医療の研究に従事)
・八尾徳州会病院
・天心堂病院
・社会保険滋賀病院
・弘道会 萱島生野病院 整形外科 医長
・関西医大枚方病院 整形外科(脊椎外科・骨粗鬆症担当)
・2018年 渚うめだ整形外科クリニック 開院
資格・所属学会
日本整形外科学会 整形外科専門医/日本整形外科学会 認定運動器リハビリテーション医/日本整形外科学会 認定リウマチ医/日本整形外科学会 認定脊椎脊髄病医/日本骨粗鬆学会認定医
日本整形外科学会、日本骨粗鬆学会、日本骨折治療学会、日本抗加齢学会に所属。国内外の学会・シンポジウムでも多数の講演実績があります。
渚うめだ整形外科クリニック
肩の痛み・動かしにくさでお悩みの方へ
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)は、腱板断裂など似た疾患との鑑別が大切です。当院では問診・触診・X線検査で原因を確認し、神経ブロック療法やトリガーポイント注射、リハビリを組み合わせて対応しています。痛みが続く方は早めにご相談ください。
京阪本線「御殿山」駅より徒歩3分/月・水・金は夜間19:30まで診療|大阪府枚方市渚南町24-31 なぎさクリニックモール1F・3F
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