- 2026年4月7日
- 2026年4月1日
骨粗鬆症は男性も注意〜リスク要因・症状・予防法を解説

骨粗鬆症と聞くと、多くの方は「女性の病気」というイメージを持たれるかもしれません。
確かに閉経後の女性に多い疾患ですが、実は男性も決して無関係ではないのです。
わが国では推計約1,280万人もの骨粗鬆症患者がいるとされ、そのうち約300万人は男性です。全体の約4分の1を占めており、高齢化が進む中で男性の骨粗鬆症患者数も増加傾向にあります。
男性の平均寿命が80歳を超える現代において、骨粗鬆症は健康寿命を脅かす重要な疾患として注目されています。骨折による寝たきりや要介護状態を防ぐためにも、男性も骨の健康に目を向ける必要があるのです。
本記事では、男性における骨粗鬆症のリスク要因や発症メカニズム、特有の症状、そして今日からできる予防法について、整形外科専門医の視点から詳しく解説いたします。
男性も骨粗鬆症にかかる理由
骨粗鬆症は女性特有の病気ではありません。
男性には閉経がないため、女性のように急激な骨量低下は起こりにくいものの、加齢とともに確実に骨密度は減少していきます。20歳頃に最大骨量を迎えた後、骨量はほぼ横ばいで推移しますが、50代頃から徐々に減少が見られるようになります。

男性の骨量減少は主に「骨形成」の低下によるものです。骨の新陳代謝の過程で新しい骨が作られる力が弱まり、骨を支える柱のような構造である「骨梁」が薄くやせてきます。特に70歳以降は骨量減少が顕著となり、骨折の危険性も大きく増加します。
加齢による骨粗鬆症は「原発性骨粗鬆症」と呼ばれますが、男性の場合、もう一つ注意すべきタイプがあります。それが「続発性骨粗鬆症」です。
続発性骨粗鬆症とは、他の疾患や薬剤が原因となって起こる骨粗鬆症のことです。糖尿病、原発性副甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、関節リウマチ、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患、ステロイド薬の使用などが原因となります。
これらの疾患は骨密度だけでなく、骨の質そのものを劣化させることがあります。骨質が劣化すると、骨密度がそれほど低下していなくても骨が脆くなり、折れやすくなってしまうのです。
男性の骨粗鬆症による骨折リスク
骨粗鬆症による骨折は、日常生活動作に大きな影響を及ぼします。
高齢になると筋力低下やバランス感覚の衰えにより転倒しやすくなり、骨折のリスクが上昇します。厚生労働省の調査でも、65歳以上の要介護者において「転倒・骨折」が介護が必要となった主な原因の一つに挙げられています。
特に注意が必要なのは、骨折した部位によっては寝たきりや死亡につながる危険性があることです。大腿骨近位部骨折患者の約10%が骨折後1年で死亡するとされ、大腿骨近位部以外の非椎体骨折でも死亡リスクは男女とも約1.7倍高くなるとの報告があります。
さらに重要なのは、男性の場合、女性よりも骨折後の予後が良くないという点です。
ある研究結果によると、大腿骨近位部骨折後1年の死亡リスクは非骨折者に比べて男性で3.7倍、女性で2.9倍に高まることが示されています。男性の方が骨折後の死亡リスクが高い理由としては、骨折前からの併存疾患の多さや、リハビリテーションへの取り組みの違いなどが指摘されています。
男性の骨粗鬆症による骨折の危険因子は、年齢、低体重、骨折歴、両親の大腿骨近位部骨折歴、ステロイドの使用、飲酒、喫煙、低骨密度など、女性と共通するものが多くあります。
特に男性の場合、喫煙者は非喫煙者と比べて骨粗鬆症による骨折の危険性が高くなるため、禁煙は骨の健康を守る上でも重要です。
出典骨検 by 旭化成ファーマ「男性と骨粗鬆症」より作成
男性の骨粗鬆症の診断と検査
原発性骨粗鬆症の診断基準は、男性にも適用されます。
骨密度を調べる検査として最も有効とされているのが、二重エネルギーX線吸収法(DXA検査)です。男性でDXA検査が推奨されるのは、70歳以上の方、もしくは50歳以上70歳未満で以下の危険因子を持つ方です。
- 1日3単位以上の過度のアルコール摂取(350mlの缶ビール2本分、日本酒1合、焼酎1杯、ワイン2杯に相当)
- 現在喫煙している
- 家族が足の付け根(大腿骨近位部)を骨折したことがある
DXA検査では、大腿骨近位部と腰椎それぞれで測定することが望ましいとされています。両方の部位で測定することで、より正確な骨の状態を把握できます。
50歳より前に骨粗鬆症が疑われる場合は、続発性骨粗鬆症の可能性があるため、血液検査や尿検査などで原発性骨粗鬆症と区別します。続発性骨粗鬆症の原因となる疾患を見逃さないことが重要です。
当クリニックでは、枚方市の骨粗鬆症検診にも対応しております。対象年齢の方は、ぜひ定期的な検診をご利用ください。骨密度測定を通じて、早期に骨の状態を把握することが予防の第一歩となります。
男性の骨粗鬆症の治療法
男性の骨粗鬆症治療は、女性と同じく薬物治療を基本に、食事療法と運動療法を並行して行います。
骨粗鬆症の治療薬は女性に比べてエビデンスが乏しい面がありますが、女性とほぼ同じ治療効果が得られたと報告されているものもあります。治療薬には骨吸収を抑える薬や骨形成を促進する薬などがあり、患者さんの状態に応じて選択します。
薬物治療と並行して重要なのが、食事療法と運動療法です。カルシウムやビタミンD、ビタミンKなどの栄養素を十分に摂取し、適度な運動で骨に刺激を与えることが骨の健康維持に役立ちます。
続発性骨粗鬆症の場合は、原因となっている疾患の治療も並行して行う必要があります。糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣病をしっかり管理することが、骨の健康を守ることにもつながります。
当クリニックでは、整形外科専門医とペインクリニック専門医が在籍しており、骨粗鬆症の適切な診断と治療を行っております。痛みのコントロールやリハビリテーションにも力を入れており、患者さんの自立した生活を支援しています。
今日からできる骨粗鬆症予防法
高齢になっても健康な体をキープするために、適度な運動やバランスの良い食事を心掛けてください。

原発性骨粗鬆症だけでなく、続発性骨粗鬆症の原因となる生活習慣病の予防にもつながります。
運動習慣を取り入れる
骨は負荷がかかることで強くなります。ウォーキングや軽いジョギング、階段の昇り降りなど、骨に適度な刺激を与える運動を日常的に取り入れましょう。週に3回以上、1回30分程度の運動が理想的です。
筋力トレーニングも骨の健康に有効です。筋肉が骨を引っ張ることで骨に刺激が加わり、骨形成が促進されます。無理のない範囲で、スクワットや腕立て伏せなどの自重トレーニングから始めてみましょう。
栄養バランスの良い食事
カルシウムは骨の主要成分です。牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜などを積極的に摂取しましょう。成人男性の1日のカルシウム推奨量は700〜800mgです。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます。魚類(サケ、サバ、イワシなど)やきのこ類に多く含まれています。また、日光を浴びることで体内でもビタミンDが合成されるため、適度な日光浴も効果的です。
ビタミンKは骨形成を促進します。納豆、ほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜に豊富に含まれています。
生活習慣の見直し
喫煙は骨密度を低下させる要因となります。禁煙は骨の健康だけでなく、全身の健康にも良い影響をもたらします。
過度の飲酒も骨粗鬆症のリスクを高めます。1日3単位以上のアルコール摂取は控えましょう。適量であれば問題ありませんが、飲み過ぎには注意が必要です。
定期的な骨密度測定
70歳を過ぎている方は、骨密度を測定してみましょう。また、若い方で続発性骨粗鬆症の原因に心当たりのある方は、主治医と相談するなどして検査してみてください。
早期発見・早期治療が、将来の骨折リスクを大きく減らすことにつながります。
まとめ
骨粗鬆症は女性だけの病気ではありません。
男性も加齢とともに骨密度が低下し、特に70歳以降は骨折リスクが大きく増加します。さらに、糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣病が原因となる続発性骨粗鬆症にも注意が必要です。
男性の骨粗鬆症による骨折は、女性よりも予後が悪く、寝たきりや死亡につながる危険性が高いことが分かっています。だからこそ、予防と早期発見が重要なのです。
適度な運動、バランスの良い食事、禁煙、適度な飲酒など、日常生活の中でできる予防法を実践しましょう。そして、70歳以上の方や危険因子を持つ方は、定期的な骨密度測定を受けることをお勧めします。
当クリニックでは「健康寿命を延ばし、地域寝たきりゼロをめざす」という理念のもと、骨粗鬆症の適切な診断と治療を行っております。整形外科専門医とペインクリニック専門医が在籍し、骨粗鬆症治療、リハビリテーション、痛みのコントロールに重点を置いた診療を提供しています。
骨の健康について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。枚方市の骨粗鬆症検診にも対応しており、御殿山駅から徒歩3分とアクセスも良好です。土曜日診療や夜間診療(19時30分まで)も行っておりますので、お仕事帰りにも受診いただけます。
渚うめだ整形外科クリニック
〒573-1183 大阪府枚方市渚南町24-31 なぎさクリニックモール1F・3F
電話番号:072-848-3755
御殿山駅から徒歩3分
骨粗鬆症は予防できる疾患です。今日から骨の健康を意識した生活を始めましょう。
【著者情報】

渚うめだ整形外科クリニック 院長 梅田 眞志
関西医科大学卒業後、同大学大学院博士課程を修了し、再生医療の研究に従事。医学博士。
これまで、八尾徳州会病院、天心堂病院、社会保険滋賀病院、弘道会 萱島生野病院、関西医大枚方病院などで、脊椎疾患・関節疾患・骨粗鬆症・骨折などの外傷治療に幅広く携わってきました。
2018年に渚うめだ整形外科クリニックを開院。地域に根ざした整形外科医療を通じて、運動器疾患のかかりつけ医として診療を行っています。
主な経歴
・2000年 関西医科大学 卒業
・2008年 関西医科大学大学院 博士課程修了(再生医療の研究に従事)
・八尾徳州会病院
・天心堂病院
・社会保険滋賀病院
・弘道会 萱島生野病院 整形外科 医長
・関西医大枚方病院 整形外科(脊椎外科・骨粗鬆症担当)
・2018年 渚うめだ整形外科クリニック 開院
資格・所属学会
日本整形外科学会 整形外科専門医/日本整形外科学会 認定運動器リハビリテーション医/日本整形外科学会 認定リウマチ医/日本整形外科学会 認定脊椎脊髄病医/日本骨粗鬆学会認定医
日本整形外科学会、日本骨粗鬆学会、日本骨折治療学会、日本抗加齢学会に所属。国内外の学会・シンポジウムでも多数の講演実績があります。
