- 2026年4月10日
- 2026年4月1日
首の痛みの原因と病院選び〜ストレートネック・むち打ち症の対応

首の痛みは、現代人にとって非常に身近な症状です。
デスクワークやスマートフォンの長時間使用が日常化した今、首に負担がかかる姿勢を続けることで、さまざまな不調が現れるようになりました。首の痛みを感じたとき、「どこの病院に行けばいいのか」「何科を受診すべきか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
首の痛みには、ストレートネック、むち打ち症(外傷性頸部症候群)、頚椎椎間板ヘルニアなど、さまざまな原因があります。それぞれの疾患には特徴的な症状があり、適切な診断と治療が必要です。痛みを我慢し続けると、症状が悪化したり、日常生活に支障をきたしたりする可能性もあります。
本記事では、整形外科専門医の視点から、首の痛みの主な原因と、症状に応じた適切な病院の選び方について詳しく解説します。ストレートネックやむち打ち症の特徴、整形外科での診断・治療方法、リハビリテーションの内容まで、専門的な知識をわかりやすくお伝えします。
首の痛みの主な原因とは
首の痛みを引き起こす原因は多岐にわたります。
最も多いのは、日常的な姿勢の問題や筋肉の緊張によるものです。長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用により、首が前に出た姿勢を続けることで、頚椎(首の骨)や周囲の筋肉に大きな負担がかかります。
人間の頭の重さは約5〜6kgあり、うつむく角度によって首への負担は劇的に増加します。30度前に傾けると約3倍、45度傾けると約4倍の負担がかかるという研究結果もあります。このような姿勢を長時間続けることで、首の後ろの筋肉が緊張し、痛みやこりが生じるのです。

また、交通事故による外傷も首の痛みの重要な原因です。追突や衝突などの衝撃により、首が急激に前後に振られることで、頚椎や周囲の組織が損傷します。このような外傷性の首の痛みは、受傷直後には軽くても、数日後に悪化することがあるため注意が必要です。
さらに、加齢による変化も首の痛みの原因となります。頚椎の椎間板が変性したり、骨が変形したりすることで、神経が圧迫され、痛みやしびれが生じることがあります。これらの変化は、長年の姿勢の積み重ねや、頚椎への負担が関係していると考えられます。
ストレートネック(スマホ首)の特徴と症状
ストレートネックとは何か
ストレートネックとは、頚椎が本来持つ緩やかなカーブ(前弯)が失われ、まっすぐになってしまった状態を指します。
正常な頚椎は、7つの椎骨が前方に向かって30〜40度のカーブを描いており、このカーブがクッションのような働きをして頭を支えています。しかし、うつむいた姿勢を長時間続けることで、首の筋肉が固まり、骨が真っすぐに並んだ状態になってしまうのです。
ストレートネックは、レントゲン検査で頚椎のカーブがなくなっていることを確認できます。頚椎が前方に曲がっている角度が30度以下の場合、ストレートネックと診断されます。この状態になると、頭の重さを分散させるクッション機能が失われ、首の筋肉への負担がさらに大きくなります。
ストレートネックの主な症状
ストレートネックによって現れる症状は、首や肩の症状だけにとどまりません。
首の痛みやこわばり、肩こりといった局所的な症状に加えて、頭痛、めまい、吐き気、手足のしびれ、疲れやすさなど、多彩な症状が現れることがあります。これらの症状は、首の筋肉のこりが自律神経に影響を与えることで生じると考えられています。
特に女性の場合、更年期障害と似た症状が現れることもあります。ホルモン検査で異常がないにもかかわらず、不調が続く場合は、首の問題が原因である可能性も考慮する必要があります。

ストレートネックの原因
ストレートネックを引き起こす最大の原因は「姿勢」です。
スマートフォンを見ている時は、首や顔が下を向いており、頚椎の前弯がなくなった姿勢になっています。画面に集中すればするほど、このような不良姿勢を長時間続けることになります。デスクワークの際も、モニター画面に集中することで頭が前に出て、肩が前に回り、首と背中の上部の筋肉が伸びることで、ストレートネックの原因となります。
また、睡眠時の枕の高さも影響します。高すぎる枕を使って寝ている場合、首は常に下を向いているような姿勢となり、ストレートネックの状態を作り出してしまいます。柔らかすぎる枕も、頭部を安定させようとして首が常に緊張した状態が続くため、負担がかかります。
むち打ち症(外傷性頸部症候群)の理解
むち打ち症とは
むち打ち症は、医学的には「外傷性頸部症候群」と呼ばれます。
交通事故などで首に急激な衝撃を受けた際、首が鞭のようにしなることから「むち打ち症」という名称が使われてきました。現在ではヘッドレストが標準装備されたことで、激しく首がしなることは少なくなりましたが、追突事故などで首に衝撃を受けることによる症状は依然として多く見られます。
むち打ち症の多くは追突事故で起こります。追突などで首が急に反り返ったとき(過伸展)に、頚椎の関節どうしがぶつかり、関節の内側にある滑膜が刺激されて炎症を起こすことが主な原因と考えられています。あわせて、靱帯や筋膜などの軟部組織の軽い損傷が関与することもあります。
むち打ち症の症状の特徴
むち打ち症の特徴は、「後から発症する」「症状が長引く」「なかなか治らない」という点です。
症状は受傷直後から出るとは限りません。受傷直後に首の痛みを訴える方は約6割、6時間以内で約65%、24時間以内で約93%、72時間以内にはほぼ全員が痛みを自覚するとされています。これは、痛みに反応して首まわりの筋肉がこわばり、血流が悪くなり、痛み物質がたまりやすくなるという悪循環が起こるためです。
むち打ち症では、首の痛みが約94%、肩こりが約63%、頭痛が約47%、吐き気が約19%、めまいが約8%にみられます。多くの患者さんは、まず後ろ首の痛みがはっきりし、その後に頭痛やめまい、吐き気といった症状が付随して現れることが少なくありません。
むち打ち症と診断されたら
交通事故後にむち打ち症が疑われる場合は、必ず整形外科を受診することをおすすめします。
整形外科では、レントゲンやMRIといった検査機器を用いて、骨折や脱臼、脊髄損傷などの重篤な損傷がないかを確認します。また、損害賠償請求や後遺障害等級認定に必要な診断書は、医師のみが作成できるため、整形外科での受診が必要です。
整骨院や接骨院での施術を希望する場合も、まずは整形外科で診断を受け、医師の同意を得たうえで通院することが重要です。整形外科との関係性を良好に保っておくことで、治療が長引いた場合の後遺障害診断書の作成もスムーズに進みます。
整形外科での診断と治療方法
整形外科での検査内容
整形外科では、まず問診で症状の詳細や発症の経緯を確認します。
その後、視診・触診で首の動きや痛みの部位を確認し、必要に応じて画像検査を行います。レントゲン検査では、頚椎の骨の状態やストレートネックの有無を確認できます。MRI検査では、椎間板や神経の状態を詳しく評価することができます。
むち打ち症の場合、画像検査で異常が見つかりにくいこともありますが、レントゲン検査で異常が見つからなくても、首や肩の痛み、気分が悪い、体調が悪いなどの症状がある場合は、我慢せずに医師に異常を訴えることが大切です。
保存療法による治療
ストレートネックやむち打ち症の治療は、基本的には保存療法が行われます。
保存療法とは、手術以外の方法で症状の改善を図る治療の総称です。首に装具を付けて安定させる装具療法、痛みを軽減するための薬物療法、筋肉の緊張を和らげる物理療法などがあります。

痛みが強い場合は、非ステロイド性消炎鎮痛剤などの薬物治療を行います。痛みが落ち着いてきた段階で、マッサージやストレッチなどを行い、筋肉の緊張緩和や首の可動域改善を目指します。ただし、自己判断でマッサージやストレッチを行うと、かえって症状が悪化することもあるため、必ず医師の指導のもとで行うことが重要です。
ペインクリニックでの痛みのコントロール
当院では、麻酔科専門医・ペインクリニック専門医による痛みのコントロールも行っています。
神経ブロック注射などの専門的な治療により、痛みを効果的に軽減することができます。慢性的な首の痛みや、保存療法で改善が見られない場合には、ペインクリニックでの治療も選択肢の一つとなります。
リハビリテーションの重要性
リハビリテーションの目的
首の痛みの治療において、リハビリテーションは非常に重要な役割を果たします。
痛みを抑えるだけでなく、首の可動域を回復させ、筋肉の緊張を和らげることで、症状の改善と再発予防を目指します。リハビリテーションでは、理学療法士が患者さん一人ひとりの状態に合わせて、適切な運動療法や物理療法を提供します。
リハビリテーションの内容
リハビリテーションでは、電気治療、温熱療法、マッサージ、ストレッチ、運動療法などを組み合わせて行います。
電気治療では、低周波や干渉波などを用いて筋肉の緊張を和らげます。温熱療法では、ホットパックや超音波などで患部を温め、血流を改善します。マッサージやストレッチでは、筋肉の柔軟性を高め、可動域を広げます。運動療法では、首や肩の筋肉を適切に動かすことで、筋力を維持・向上させます。
リハビリテーションは、継続的に行うことで効果が現れます。痛みが軽減してきたからといって、自己判断で中断せず、医師や理学療法士の指示に従って続けることが大切です。
日常生活での予防と対策
姿勢の改善
首の痛みを予防するためには、日常生活での姿勢を改善することが最も重要です。
スマートフォンやタブレットを操作する際は、なるべく高く持ち上げ、画面と目の高さが同じになるようにしましょう。重くて腕が疲れるときは、電子機器を持っている方のひじを逆の手で支えるとラクになります。机がある場合は、ひじをついたり、スタンドを使用したりするのもおすすめです。
デスクワークの際は、自分に合った机と椅子を選び、正しい姿勢でパソコンに向かうことが重要です。パソコン機器は、猫背防止のためできるだけデスクトップ型を使用するのがおすすめです。ノートパソコンの場合は、画面を10〜15cmほど高くし、外付けのキーボードを使用すると良いでしょう。
適度な休憩と運動
首への負担を少なくするために、パソコンやスマホを使う際は30分に1回は休憩をしましょう。
首や肩を動かす、立って背伸びをするなど、身体を動かすことを心がけてください。首の後ろの筋肉に力を思いっきり入れ、ストンと力を抜くと、緊張していた筋肉が弛緩します。寝た状態で枕に自分の頭を押し付けるような運動をすることで、首の後ろの筋肉が弛緩します。
睡眠時の枕の選び方
睡眠時の枕の高さにも気を付けましょう。
高すぎる枕を使って寝ている場合、首は常に下を向いているような姿勢となり、ストレートネックの状態を作り出すため、避けましょう。さらに、柔らかすぎる枕を使用していると、頭部を安定させようとし、常に首が緊張した状態が続くため、負担がかかります。枕は高すぎず、柔らかすぎないもので、自分のサイズに合ったものを選びましょう。
当院での首の痛み治療の特徴
渚うめだ整形外科クリニックでは、整形外科専門医とペインクリニック専門医が在籍し、首の痛みに対する専門的な診療を行っています。
院長は、関西医科大学や地域の基幹病院で脊椎疾患、関節疾患、骨粗鬆症などの治療に従事し、救急病院では骨折などさまざまな外傷治療を行ってきた経験があります。この豊富な経験を活かし、患者さん一人ひとりの症状に合わせた適切な診断と治療を提供しています。
当院では、レントゲン検査や超音波検査により、頚椎の状態を正確に評価します。症状に合わせて、投薬、ブロック注射、電気治療、リハビリテーションまで、幅広い治療オプションを提供しています。交通事故によるむち打ち症の場合は、自賠責保険の手続きや診断書作成もサポートいたします。
土曜日診療および夜間診療(19時30分まで)に対応しており、お仕事帰りや休日にも通院しやすい環境を整えています。WEB受付システムも導入しており、待ち時間を短縮することができます。
当院は、御殿山駅から徒歩3分、国道176号線沿いに位置し、駐車場も41台完備しているため、お車での通院も便利です。
まとめ
首の痛みは、日常生活に大きな影響を与える症状です。
ストレートネックやむち打ち症など、原因はさまざまですが、適切な診断と治療により、症状の改善が期待できます。首の痛みを感じたら、我慢せずに整形外科を受診することが大切です。
整形外科では、レントゲンやMRIなどの検査により、正確な診断を行うことができます。保存療法やリハビリテーション、ペインクリニックでの治療など、症状に合わせた適切な治療を受けることで、痛みの軽減と機能回復を目指すことができます。
また、日常生活での姿勢の改善や、適度な休憩、適切な枕の選び方など、予防と対策も重要です。長時間のスマートフォン使用やデスクワークを行う際は、姿勢に気を付け、定期的に首や肩を動かすことを心がけましょう。
渚うめだ整形外科クリニックでは、整形外科専門医とペインクリニック専門医が、患者さんの症状に合わせた専門的な診療を提供しています。首の痛みでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
電話番号:072-848-3755
所在地:〒573-1183 大阪府枚方市渚南町24-31 なぎさクリニックモール1F・3F
アクセス:御殿山駅から徒歩3分
健康寿命を延ばし、地域寝たきりゼロをめざす当院で、首の痛みから解放され、快適な日常生活を取り戻しましょう。
【著者情報】

渚うめだ整形外科クリニック 院長 梅田 眞志
関西医科大学卒業後、同大学大学院博士課程を修了し、再生医療の研究に従事。医学博士。
これまで、八尾徳州会病院、天心堂病院、社会保険滋賀病院、弘道会 萱島生野病院、関西医大枚方病院などで、脊椎疾患・関節疾患・骨粗鬆症・骨折などの外傷治療に幅広く携わってきました。
2018年に渚うめだ整形外科クリニックを開院。地域に根ざした整形外科医療を通じて、運動器疾患のかかりつけ医として診療を行っています。
主な経歴
・2000年 関西医科大学 卒業
・2008年 関西医科大学大学院 博士課程修了(再生医療の研究に従事)
・八尾徳州会病院
・天心堂病院
・社会保険滋賀病院
・弘道会 萱島生野病院 整形外科 医長
・関西医大枚方病院 整形外科(脊椎外科・骨粗鬆症担当)
・2018年 渚うめだ整形外科クリニック 開院
資格・所属学会
日本整形外科学会 整形外科専門医/日本整形外科学会 認定運動器リハビリテーション医/日本整形外科学会 認定リウマチ医/日本整形外科学会 認定脊椎脊髄病医/日本骨粗鬆学会認定医
日本整形外科学会、日本骨粗鬆学会、日本骨折治療学会、日本抗加齢学会に所属。国内外の学会・シンポジウムでも多数の講演実績があります。
